こんにちは。
おにまめです。、
久々の建築本レビューです。
今回の建築本は【あるノルウェーの大工の日記】という本です。
簡単に内容をまとめますと、ノルウエーの大工さん(筆者)が小屋裏の改修工事の進捗を日記形式でまとめている本です。
専門的な内容も若干含みますが、解説や図があるので誰でも苦なく読み進められると思います。
大工さんは我々建築士とは同業者でありながら、立場や仕事内容が異なる職種です。
この【大工さん目線】で見た建築はどのように映っているのか気になり、この本を手に取りました。
僕がこの本で知りたいと思ったのは以下3点です。
・日本とノルウエーで大工の職能に違いはあるのか
・建築士との関係について
・学ぶべき技術者としての姿勢
それでは早速行ってみましょう!!
純度100の北欧でした!!
大工であり、技術者であり、営業
この本を読んで、まずノルウェーの大工さんの仕事範囲にびっくりしました。
日本では建設会社と契約し、その建設会社から仕事をもらう大工さんが多いなか、(ハウスメーカーでは 特に そう)本書では施主さんから直接依頼の連絡が来るところから話がスタートします。
しかも依頼が決まっているわけではなく、入札(複数の会社から見積もりを出してもらって、その中から1社決める)という形です。
この時点では建築士との打合せは完了していますので、
お施主さんは建築士(設計士)との打合せを終えた後、自らそれを施工する業者選定をしているという構図です。
ノルウエーのこの方式は結構お施主さんにとっては負担が大きそう。。
何が言いたいかと言うと、お施主さんから直接入札依頼が来ているので、筆者は案件受注に向け
・代替案を提示したり、
・コストを見直したり、
・施主と建築士や設計士との間を取り持つような動きをしたりしています。
職人と言うと、いかにも親方のような
というようなスタンスのイメージを持ってしまいますが、
筆者は大工であり、技術者であり、営業であるような幅広い守備範囲の仕事をしていると感じました。
加えて、経営者でもありますから見積もり作成や経費処理などの雑務もこなしています。
建築士との関係
本書では【建築士】と【設計士】で別々の担当者がいます。
おそらく建築士がデザイナーで、設計士が実施設計みたいな感じなのでしょう。
海外建築では【デザイナー】と【エンジニア】が分かれていると聞いたことがありますので、日本のように兼任している方が海外から見れば少し特殊なのかも知れません。
ただ筆者の立場からすると、建築士と設計士と施主との3者の間に挟まれるような状態ですから、僕なら逃げ出したいような環境です。笑
時には建築士から嫌味を言われながらも、
・建築士に代替案を提示したり、(建築士が現地見てないから、小屋裏の既存梁を見落としてた!笑)
・お施主さんに説明に伺ったり
・設計士に再度構造計算をお願いしたり、
となかなかの中間管理職っぷりです。
海外でも⁉︎建築士のような資格を持つ者の方が、社会的立場が高いように描かれていまして、【奴らは現場を見にこない】という愚痴は日本と同じようです。笑
アカデミックな奴らはディベート文化で生きていて、結論に興味がないようにみえると皮肉っています。
まぁこの辺りも結構日本と共通点がありそうですな。
学ぶべき技術者としての姿勢
本書は専門的な工程の解説も数多く含んでいますが、僕個人的には筆者の【技術者としての姿勢】が勉強になりました。
例えば、作業前に要注意リストを自ら作成しておくという点は、我々ハウスメーカーの現場でも見習いたいところです。
筆者の親方からの教えでもあるようですが、常に自分との議論を重ね、どんな工法が1番効率的なのかを模索しているのだそう。
非常にクリエイティブな仕事をしている事が見て取れます。
僕たちも、一度うまく行った工法や納まりなどをもう1度検証し直して、より良いものに進化させるという作業は当然ながら必要なのだと感じました。
『親方は仕事が上手くいかなかった時より上手く行った時の方が厳しい』と言うのはまさにこの教えなのでしょう。
筆者はベテランの大工ですが、そのキャリアに慢心することなく常に不安を持ちながら仕事をしているので、良い仕事をし続けることができるのでしょう。
建築という分野は長い時間を掛けて上達していくものですから、僕もこの価値観を参考にして仕事をしていこうと感じました。
まとめ
同じ業種だけど、ちょっと立場が違う職種の人が書いた本と言うのは、自分の立ち位置や価値観を認識する上でとても役に立ちます。
今後も色々な本を紹介していきたいと思います。
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最後まで読んで頂きありがとうございます。
それではまた次回!!