伊礼智の住宅設計作法Ⅱ 感想

  • 2019年5月27日
  • 2019年7月28日
  • 建築本
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筆者と内容紹介

まずは筆者の紹介です。

1982年、琉球大学理工学部建設工学科卒業後、東京芸術大学大学院美術研究科に進学し建築(奥村昭雄研究室)を専攻し修了丸谷博男+エーアンドエーを経て、1996年伊礼智設計室開設。現在、自らの主催で住宅デザイン学校も実施。2005年から日本大学生産工学部建築工学科居住空間デザインコース非常勤講師。2006年「9坪の家」、2007年「町角の家」でエコビルド賞受賞。2013年、i-works project でグッドデザイン賞。

Wikipediaより引用

伊礼智先生は僕が一番と言っても良いくらいリスペクトしている人です。 大マジ respectです。

この本は 一問一答形式で構成 されており、 開口部やキッチン・階段など伊礼建築のポイントとなる要素を、伊礼さんの設計時の思考や手法と合わせて、わかりやすい言葉とポップな語り口で説明してくれています。
この文章からも伊礼先生の人柄がにじみ出てきているような気がします。

ポイント

本書のポイントは以下の通りです。

  • 開口部近傍に心地よさは宿る
  • 標準化に対してポジティブ
  • 佇まいの美しさ

それではそれぞれ解説していきます。

開口部近傍に心地よさは宿る

伊礼先生の住宅では開口部付近にソファが置かれていることが多くあります。デイベッドと呼ばれるそうですが、開口部付近の心地よさの象徴になっています。

伊礼先生本人 が 東京大学教授の野矢茂樹さんが言った
「設計って外部をどれだけ採り入れるかでしょう?」 という言葉にひどく感銘を受けたそうで、自身の言葉でこのように解説しています。

住宅設計においても、外部からやってくる光や風、熱や音、コミュニケーションやにおいなど、何をどれだけ採り入れるかを制御することは大事で、その要となるのが開口部 だと思います。

本書より抜粋

キャンプでテントを張る位置を、無意識に心地よい場所を選ぶように、 周辺環境を読み解き 、外部をうまく採り入れ ることは重要です。
ですがこと住宅となると、この部分おざなりになってしまっています。 日常業務でも外観や見栄 (見栄は否定しませんが笑)の部分にまず話が進んでしまうことは良くあります。
まずは敷地に対してどこに開くかを考えて施主様に説明していくことが重要なのでしょう。

標準化に対してポジティブ

ハウスメーカーという職業に疑問を感じてしまう時というのは、多くの建築家が規格化された家に対してポジティブな反応を示さないことです。 まるで自分の仕事が建築業界にいないような印象すら受ける時があります。

ですが、伊礼先生は標準化をポジティブにとらえています。
標準化に対してこのように解説されています。

「標準化を意識するということは経験を積み上げ磨きをかけていくことであり、決して創造性を退化させるものではないと信じています。標準化したものにはその人の価値観が現れ、それが作風となるのではないでしょうか?」

本書より抜粋

現に 標準化キッチン「i-works キッチン」のプロダクト化を進めているそうです。結果として生産コスト等の関係から中止になってしまったようですが、部分と全体のプロダクト化というのは伊礼建築の重要項目であるようです。
階段や水回りも大体の大きさを標準化していて、1坪がメイン。これをベースに大きくしたり縮めたりするそうです。
風呂や開口部もハーフユニットや既製品をうまく利用しています。

伊礼建築で良く登場する「i-works」は伊礼先生と工務店・資材メーカーによる「プレタポルテ住宅」です。プレタポルテとは質の高い既製服を意味しており、標準化を進め、質の高い既製服のように質の高い住宅を手の届く価格で提供するビジョンを持つプロジェクトです。まさに標準化をポジティブに発展させた好例だと思います。

佇まいの美しさ

伊礼建築は建物の佇まいが何とも言えず美しいと思っています。我々ハウスメーカーではなかなかできない美しさがあるような気がしています。 ハウスメーカーに作れないような奇抜な外観じゃないですし、サッシも特別変わったものを使っているわけじゃないですし、 何が違うのかイマイチ説明ができないんです。

ここからはあくまで僕の意見ですが、 プロポーションが原因なのかなと。。 伊礼先生は出来る限り天井は低く抑えるように設計するようですが、ハウスメーカーではしきりに天井高さを競い合って高くしています。それが結果として建物のバランスを損ねているのではないかというのが僕の考察です。
「良い建物は小さく見える」と聞いたことがあります。
僕たちが思っている以上に天井は低くしたほうが綺麗な佇まいになるんでしょうな。。

まとめ

本当に勉強になる良い本でした。 学生ももちろん学ぶところは多いと思いますが、我々のように実際に住宅設計をしている人が一番読むべきだと思います。
今回Ⅱを紹介しましたが、なんとⅠを見てない。。 笑
Ⅰを購入後またレビューするようにします。 笑
なかなか工務店やハウスメーカーでは師匠と呼ばれる方に直接教えてもらうことが少ないので、自ら学んでいかないといけないですね。 もっともっと建築・設計の本質について学んでいきたいと思います。

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