【建築本レビュー】伊礼智の住宅設計作法Ⅱ

今回は僕が尊敬する建築家 伊礼智さんの【住宅設計作法Ⅱ】という本を紹介したいと思います。

伊礼さんは、僕が一番と言っても良いくらいリスペクトしている建築家です。

おすけ
大マジ リスペクト!!

この本の特徴は、開口部やキッチン・階段など【伊礼建築の要素】を分解して、設計時の思考や手法と合わせて説明してくれています。

建築家の手法を学べる、非常にありがたい本です。

わかりやすい言葉とポップな語り口で構成されているので、とっても読みやすいです。

失敗談などもそのまま掲載されていて、肩肘はらない姿勢は非常に共感できるところです!

さらに【一問一答】で構成 されているので、どこから読んでもOK。
僕はふと気になったお昼休みとかにパラパラ~っと再読しています。

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内容紹介

僕が感じた本書のポイントは以下の通りです。

  • 開口部近傍に心地よさは宿る
  • 標準化に対してポジティブ
  • 佇まいの美しさ

それでは早速行ってみましょう~!!

開口部近傍に心地よさは宿る

伊礼先生の住宅では、開口部付近にソファが置かれていることが多くあります。

【デイベッド】と呼ばれるこの空間こそが、開口部付近の心地よさの象徴になっています。

東京大学教授の野矢茂樹さんが

野矢さん
「設計って外部をどれだけ採り入れるかでしょう?」 

といった言葉に伊礼さん自身が衝撃を受けたそうですが、僕も同じような衝撃が走りました!

本書でもこのように言っています。

住宅設計においても、外部からやってくる光や風、熱や音、コミュニケーションやにおいなど、何をどれだけ採り入れるかを制御することは大事で、その要となるのが開口部 だと思います。

本書より抜粋

ビーチパラソルを無意識に心地よい場所に張るように、 住宅においても周辺環境を読み解き、外部をうまく採り入れることは重要です。

まずはお施主さんに対して、【敷地のどこに開くか】を時間をかけて説明していくことが重要なのでしょう。

標準化に対してポジティブ

多くの建築家が【規格化】された家に対してポジティブな反応を示しません。

そんなとき、僕はハウスメーカーという職業に疑問を感じてしまいます。
まるで自分の仕事が建築業界ではない印象すら受ける時もあるのです。

ですが、伊礼先生は【標準化】をポジティブにとらえています

標準化に対してこのように解説されています。

「標準化を意識するということは経験を積み上げ磨きをかけていくことであり、決して創造性を退化させるものではないと信じています。標準化したものにはその人の価値観が現れ、それが作風となるのではないでしょうか?」

本書より抜粋

この本を読んで、ますます伊礼さんが好きになったのは言うまでもありません。

おすけ
ブラボー!!よくぞ言ってくださった~!!

標準化キッチン「i-works キッチン」のプロダクト化を進めていたそうです。

残念ながら生産コスト等の関係から中止になってしまったようですが、部分と全体のプロダクト化というのは伊礼建築の重要項目であるようです。

階段や水回りも大きさを標準化していて、1坪がメイン。
これをベースに大きくしたり縮めたりするそうです。
風呂や開口部も【ハーフユニット】や【既製品】をうまく利用しています。

伊礼建築で良く登場する「i-works」は伊礼先生と工務店・資材メーカーによる『プレタポルテ住宅』です。

『プレタポルテ』とは質の高い既製服を意味しており、標準化を進め、質の高い既製服のように質の高い住宅を手の届く価格で提供するビジョンを持つプロジェクトです。

まさに標準化をポジティブに発展させた好例だと思います。

佇まいの美しさ

住宅の【佇まい】が重要です。
【品】とも言いかえられるかも知れません。

伊礼さんの住宅は、奇抜な外観じゃないですし、サッシも変わったものを使っているわけではありません。

それでも伊礼建築にはハウスメーカーには出せない佇まいを持っていると感じます。

ここからはあくまで僕の意見ですが、 プロポーションが原因なのかなと。。

伊礼さんは出来る限り天井は低く抑えるように設計するようですが、ハウスメーカーはしきりに天井高さを競い合って高くしています。

結果として軒高さが上がり、建物のバランスを損ねているのではないかと思うようになりました。

以下の記事で深く考察しています。

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「良い建物は小さく見える」と聞いたことがあります。

僕たちが思っている以上に天井は低くしたほうが、綺麗な佇まいになるんでしょうな。。

僕は、日本の街並みの手本にすべき外観がこの本には詰まっていると思います。

まとめ

本当に勉強になる良い本でした。

学生はもちろん学ぶところは多いと思いますが、実際に住宅設計をしている社会人が一番読むべきだと思います。

そして、読み終わって気づいたことが1つあります。
今回Ⅱを紹介しましたが、Ⅰをまだ読んでいませんでした。笑
Ⅰを購入後またレビューするようにします。

なかなか工務店やハウスメーカーでは師匠と呼ばれる方に直接教えてもらうことが少ないので、自ら学んでいかないといけないですね。

もっともっと建築・設計の本質について学んでいきたいと思います。

最後まで読んでいただきありがとうございます。

それではまた次回!!

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