【建築本レビュー】光の教会 安藤忠雄の現場

こんにちは。
おすけです。(@osukeb

今回は『光の教会 安藤忠雄の現場』という本を紹介していきたいと思います。

『光の教会』は言わずと知れた安藤忠雄さんの代表作。

その『光の教会』【建築現場や施主側】にスポットを当てた本になっています。

この本が特徴的なのは、建築が出来るまでがめちゃくちゃリアルに表現されていること。

おすけ
建築のリアルさが伝わります!

建築の本って、
・建築のコンセプトや
・建築がもたらした効果、

などを語るのが多いですよね。。

どっこい、この本はリアルな建築の苦労を見事に描いてくれているんですね。。

・設計依頼してから、めっちゃ放置されていたとか、
・金がなくて、施工業者から鬼のように断られるとか、
・暖房がないから、冬は死ぬほど寒いとか、笑

めちゃくちゃリアルな建築の現場を描写してくれています!

建築現場って、すべてが計算通りで上手くいくことなんて、ほとんどありません。
それが、前例のないチャレンジングな建築であれば、なおさらです。

そのあたりのリアルな現場を表現してくれているのが、好印象です。

というのも、この本の筆者・平松剛氏は【構造設計者】なんですね~。

建築デザインにも関心が高く、旅先で出会った『光の教会』に衝撃を受けたことから本まで書いちゃったんだとか。(すご~い!)

それではさっそく行ってみましょう~!!

構造設計者から見た名建築

本書でも少し触れていますが、建築学生は一般的には3つの分野から専門を選択することになります。

『意匠』→いわゆるデザインです。
『構造』→建築の安全性を計算する分野です。
『設備』→空調・音響・断熱など建物の快適性に関する分野です。

ですが、この専門性を選択する段階で、それ以外の分野への意識を切り離してしまう人が多いのです。

例えば、意匠を選択する人は、構造や設備に疎かったり、
構造・設備の人が、使い方やデザインを二の次にしてしまったり、これは建築業界あるあるです。

単純に、分野を飛び越えて興味を持つことが素敵だと思いますし、少し分野の離れた人間から見ると、こうも見え方が変わるんだな~と実感させられます。

光の教会の試練(予算・職人・納まり)

『光の教会』の竣工は1989年。
まさに、日本が踊りまくっていた時代です。

良き時代
メーケンでシースー。(名建築をおかずに、寿司くいたい。)

時代はバブル全盛期。

そんな中、この建築はとにかく低予算で作られました

実は、設計をした【安藤建築事務所】と施工会社の【辰巳建設】はどちらも赤字です。

低予算過ぎて、
壁まで作ったときにお金が足りなくなって屋根を付けないとか、
『未完の建築にする』って案を本気で考えたとか。笑

逆を言えば、赤字でもやり遂げたいという『熱量』がこの建物を完成させたと言っても良いほど。

この現場のもうひとつの問題点は職人の確保でした。

とにかく都心部では建築ラッシュ。
大型物件が高い報酬を提示して、全国から職人をかき集めているような状態だったそうです。

そんな状況でほぼボランティア(ていうか赤字。)の、この現場に来てくれる職人は全然いません。(泣)
ですが、腕の良い大工でないと、安藤建築の仕事はぜったい無理。。

そんな感じで職人を確保することに腐心されていたようです。

さらに、悪天候によって、何とか予定を押さえた職人が作業できない、、となり工期は大幅にズレこんでしまったようです。

現場監督はかなり胃が痛い思いをしたことでしょう笑。

おすけ
僕ならゲロ吐いて、逃げてます。

担当設計や現場監督の存在を教えてくれる。

有名な建築家の下には、担当設計(補助設計)が実務作業をしています。

建築家の構想を現実的な図面や、現場指示に落とし込む仕事です。

この本では設計担当者の水谷さん、現場監督の那須さんにもしっかりスポットを当ててくれています。

【建築家】と【お施主さん】との間には、前提としている思想が違うことがあります。

建築家は【建築の美しさ】や(コンセプト)などに意識を集中させますが、施主は【使い勝手】とかもっと【ソフトの部分】に興味があるのが普通です。

安藤さんは、施主との思いの違いは徹底的に議論して話し合うそうなんです。

だけど安藤さんが打ち合わせに参加できないこともあるので、そこの調整役が設計担当の水谷さんなんですよね、
きっと骨が折れる仕事だったと思います。

さらに設計の思いはあっても、施工上できそうにないことも浮上してきます。

この建築の超超たいせつなポイントである、十字架のスリットが作れないことが発覚しました。(やべ~)

職人
十字架の上の壁、施工できなくない?

これは、千と千尋でお父さんが豚になった時くらいの【ハラハラ感】です。

それを形にする技術者ってのは本当にすごいと思います。

おすけ
僕なら懺悔して、逃げてます。

職人はただでさえ安い賃金で働いているので、メンドクサイ指示が多ければ、へそを曲げてしまいます。
そこで職人をなだめ、品質を落とさないように努めるのが、現場監督の那須さんなのです。

名建築の裏の、【構造設計】や【現場の大変さ】を超リアルに描いてくれているのが本書です。

彼らが、建築が仕上がって大きな達成感を感じる場面は【建築の大きな魅力】を伝えてくれると思います。

名言集

以下は僕の琴線に触れた言葉です。

前に木があって通るとき邪魔ならば、木を避けて通ったらええわけで、それをみんな伐りすぎるんですね。

どうも日本人というのは何LDKだとか容れ物にこだわりすぎる。
しかしその容れ物のなかでどのように過ごすか、住まい方というのはあまり問題にされていない。住まいというものを一つのハードもしくは財産として考えすぎているのではないか。だから建ててしまうとそこで建築の命が終わってしまう。

建築家の中にはやたらコムズカシイことを並べ立てる輩がいるが、誤解されるのが嫌で誰これいうような人間は、実はあんまり自信がないものなのだ。

建築は最初のスケッチで骨格が決まってしまうものだ。
一瞬の手の動きが、すべてを決定するのである。
私のスケッチのいくつかの線の重なりは、単なる抽象的なものではない。そこには、実態としての空間があり、またそれが存在し続けようとする意志が込められているのだ。

ノートを片隅に置いて本を読んだものです。
そういう大学ノートがずいぶんあって、シナリオで詰まるとそれを読んでいく。するとどこかに突破口がある。

これは黒澤明の言葉 本書より引用

自分なりの批評の精神を持ち続けたいというふうに思ってますよね。
われわれは文章で書く批評というものはできないので、つくるモノによって批評の精神があるかということを問われながら生きているわけですね。

最後まで読んで頂きありがとうございます。

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それではまた次回!!

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