こんにちは。
おにまめです。
今回は久々に建築本のレビューをしていきたいと思います。
何故、ハウスメーカー設計士の僕がこのような他業種の本を読んでいるのかと言うと、僕がマジで構造設計者に憧れていたからです。
しかしながら、構造設計と言う仕事がどんな仕事なのかイマイチ掴めていません。
だから少しでもイメージが付けばとこの本を手にしました。
僕がこの本から学びたかった事はこちら。
・構造設計者の職能
・構造設計者の思考・哲学
・どんな働き方なのか
です。
この本には具体的な設計手法等も記載がありますが、なんせ僕がこの辺りは理解が乏しいので説明ができません。(マジ無念。)
手法ではなく、姿勢や設計プロセスを中心にレビューをしていきたいと思います。
それでは行ってみましょう!!
構造設計者の職能
構造設計者という言葉から、僕はゴリゴリのエンジニアのイメージを持っていました。
悪い言い方をすると、建築の美しさに対して疎いようなイメージがあったのです。
ですが、この本で紹介されている方々は皆、デザイナーとエンジニアの側面をどちらも持ち合わせている方々ばかりでした。
例えば、「屋根を薄くしたい」という建築家の要望に対して、10個ほどの返答をするというもの。
・柱を増やしたりなどの正攻法から、
・屋根を架けないとか、
・そもそもなぜ屋根を薄くしたいのか
と言った設計コンセプトにまで迫るものなど。。
まさに構造を会得しているエンジニアでありながら、設計者としての職能も見事に果たしています。
構造家の木村俊彦さんが【構造は不等式の世界】だと表現しているように、
構造設計は計算によって、ある一つの解答を探すような職種ではなく、無数の答えの中から設計コンセプトに照らし合わせて最適な解を探すような仕事です。
ひとつの構造的な正解にたどり着いても、その答えが良いか悪いかを判断する能力が必要なのです。
構造計算者ではなく、構造設計者という言い方には非常に納得!!
構造設計者の思考・哲学
構造設計者の特徴として、設計者ありながら構造に基づいた裏付けが必要な職種です。
・安全性とデザインに責任を持つこと
・予見と判断力を持つこと
・構造的裏付けだけでなく、結論を飛躍させるパートナーになること
が重要です。
どれだけ、カッコ良いデザインが描けても、構造設計者が首を縦に振らないと物理的には成立しないことになります。
意外でもあったのですが、構造設計者は計算よりも先に設計コンセプトを理解することから始めるのだそう。。
その上で、設計者の思いをより具体的に形作るのです。
そのためには、現場調査の際に現場のみに滞在せず、
・近くの海で泳いだり
・1時間ほどランニングをしたり
などその土地を読み解くような活動まで行います。
逆に物件と距離を取り、多角的かつ客観的に物件の概要を捉えるという方も居ました。
どちらにしても、設計コンセプトを理解するための活動であり、構造設計者の物件に対する姿勢が見えてきます。
加えて構造設計者は構造のディテールも描きます。
建物の作り方を知らなければ、考えることができないとして積極的に工事中の現場にも足を運ぶそうです。
僕にとってこれら
・設計コンセプトにも言及すること
・現場にも足を運ぶこと
・細かいディテールまで書くこと
は結構意外な構造設計者の仕事でした。
どんな働き方なのか
本書で紹介されている方々はアトリエ系構造設計事務所です。
この本を読む限り、時代の流れもあり構造設計も仕事と生活の両立が出来ているように感じました。
(比較的規模の小さな構造設計事務所を紹介されていますので、組織設計事務所の構造部門とは違うかも知れません。。)
構造設計者は設計者との定期的な打合せも少ないため、時間の融通が利きやすいようです。
・子育てと両立したり、
・グローバルに活動をしていたり、
・拠点を複数持っていたり、
など割と時代の流れに合わせた働き方をしているように感じます。
まとめ
さて、今回は構造設計を仕事にするという建築本レビューを書いてみました。
構造の知識がない人でも十分読める内容になっていますので、構造設計に興味がある学生さんにもオススメです。
僕もあまり苦なく読むことができました。
個人的にAIの発展により、構造設計者は減るのではないかと考えていた時期もありましたが、AIに代替できる部分は少ない印象(構造計算ではなく構造設計の比率が多い)で、今後はさらに人気のある仕事になるように感じました。
以下関連記事です。
構造設計に関する本はこちらでも紹介しています。
建築と言うよりデザイナーとかプロダクトに興味がある方はこちらを覗いてみて下さい。
最後まで読んで頂きありがとうございます。
それではまた次回!!