【読書レビュー】LIFE SHIFT 100年時代の人生戦略 リンダ・グラットン アンドリュー・スコット

  • 2019年2月15日
  • 2024年8月18日
  • 建築本
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この本は前からずーっと気になっていたのですが、なかなか手を出せずにいました。でもこれからの自分のながい人生を真剣に考えた時に、戦略なしに独立とか起業とかは無理だろうなぁって思って、人生の大きな指針としてインプット出来ることがあるんじゃないかと思って購入しました。

まずは人間が100年くらい生きる時代が現実になっています。これは多くの人が知っている『人生100年時代』っていうフレーズですが、それによって働き方とかお金とか人生設計で何が変わるの⁈って話。

100年前までは人は大体50年くらいしか生きられなかったそうです。100歳以上が全人口の1%くらい。

だけど2007年に生まれた人は平均寿命が107歳なんですって。おそろしい。。笑

そこで大きく変わってくるのがお金の問題。70歳くらいまで生きる想定の人生モデルと100年まで生きる想定の人生モデルでは圧倒的に必要なお金が違ってきますよね。もちろんですが100年まで生きる方がお金はかかるわけです。それに加えて高齢者が増えるってことだから年金制度は崩壊。よって年金減少&必要なお金の増大で、今までのやり方では100年楽しく生きられないらしい。人生がながくなっても働く時間がながくなるだけで良いことないじゃん!って思いますが、その対策をきちんと本書では書いてくれています。

本書では既存の典型的な人生を『3ステージ』モデルと言っています。教育→就職→引退というモデルです。このモデルは今までの社会には適応していました。

ながく働くこと・さらには働く環境・職種さえ変更しながら仕事をしてゆくモデルを『マルチステージ』として本書では推奨しています。

人生100年時代では、今までの時代で大きな価値を持っていた有形資産(お金とか、土地とか、株とかね)と合わせて無形資産(スキルとか友人とか)の構築が重要だと捉えています。少し解説。

無形資産

①生産性資産 (スキル・知識)

花形アナリストが、転職後も前職同様の成果を上げているか観察したところ、面白いことが分かった。知識によってアナリストの生産性が決まるのならば、転職をしても成果は変わらないはずだが、実際には職場で友人関係・人的ネットワークが形成されている人だけが前職と変わらない成果を出せた。よって知識と友人関係が非常に重要。

②活力資産 (健康・友人関係・家族)

長寿命化時代には健康の価値も大きくなる。50歳で働けなくなるダメージは70年時代より100年時代のほうが大きい。脳の衰えを加速させないために運動・食事の重要性が増す。

③変身資産(自分について知っていること 多様な人的ネットワーク 新しい経験に対して開かれた姿勢)

人生の途中で変化と新しいステージへの移行を成功させる意志と能力のこと。100年時代では旧来よりも多くの移行期間を経験する。自分についてよく理解している人は、人生に意味と一貫性をもたせる道を選びやすい。一貫したストーリーを持っている人はいくつものステージを移行することに伴うリスクが小さい。

また、新しいステージとして3つのステージを提示してくれています。どれを選択するという話ではなく、自分の人生のステージに合わせてこれらを組み込むようなイメージです。

①エクスプローラー=探究者

自分の興奮・好奇心・不安など発見していくステージ。高校卒業後のギャップイヤー(大学入学を遅らせて長期のボランティア・旅行などを経験する期間)とは違い、もっと長時間続くステージのこと。自己内省の時間であり、自らの問いに答えることを目的にしている。

②インディペンデント・プロデューサー=独立生産者

一時的なビジネスで永続的な会社を作らない。ビジネスの活動自体を目的にしている。よって有形資産は築きにくいが、経験を通してスキル・知識などの無形資産は充実する。

③ポートフォリオ・ワーカー

いくつかの活動・組織に属している状態。特定の年齢層に限定されないステージ。仕事以外の地域コミュニティや趣味を究める活動などを同時並行でバランスよく行っている状態。

本書では年齢に合わせたいくつかの人生のパターンを提示してくれています。この部分は人それぞれの置かれている状況により変わってきますので、割愛しますが個人的に今29歳の僕がどのような選択肢があるのかを考えるには非常に良い教材でした。結論としては僕の方向性として、

①自分のキャリアを変化させていくことを前提に生活していくこと。

②このサイトを通じて知識習得・情報発信を行い知識への投資をしていくこと。

③自己内省の時間を意識的に取ること。

かなぁと思いました。

本書を読んでいると、最近のAIによって職業がなくなるとかっていう議論がそもそもナンセンスだと感じてきます。僕の今の仕事である建築士も仕事がなくなるかもって言われている税理士とかだって、そもそも近代でできた職業だからはるか昔からあったわけではなく、時代によって作られた職業なんだと考えられます。

要するに時代によってできた仕事だから、時代が変わればその仕事も無くなって当然って感じです。AI以前の問題なんじゃないかと感じるワケです。

あと僕の周りでは、サラリーマンが多いので何となく違和感を覚えていた感覚として、みんな早い段階でゴールに着こうとしているような気がします。例えば就職・結婚・家。要するにここだと決めたらそこにずっといるだけで良いという居場所に早い段階で定着することが正義だと思っている人が多いような気がするワケです。でも視野を狭めないために意識的に判断を遅らせることとかもこれからのながい人生には必要なのだと感じた次第です。

大変勉強になりました。

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