『良い家』が設計者と一般の方でズレているのでは!?という考察

こんにちは。おにまめです。

今回は設計者が思う良い家」と「一般の方が思う良い家」が若干ズレているのではないかというお話をしていきます。

前々から気になっていたので、自分なりにまとめる機会にしてみました。

これは僕が実体験として何度も経験していることで、他の設計者も思い当たる節があるのではないかと思います。

ちなみに、本当に優秀な設計者は、この辺りのズレを上手く誘導・説明しながら、打ち合わせを進めていきます。

つくづく設計という仕事は、プレゼン(言葉)のスキルが必要なのだと感じてしまいます。

おにまめ

これがムズいんだけどな~。。

それでは早速、僕が思う【家ズレ3選】を解説していきましょう~!!

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「より複雑であることは、より良いこと」ではない。

フリーソフトで簡単な間取り図が描ける時代になり、打ち合わせの時に自作プランを持ってきてくださる施主様も多くなってきました。
スマホでプランを作成できるアプリなんかもあるみたいです。

そんなお施主さんの自作プランを見ることがあるのですが、何とも返答しずらいプランが多い。。

誤解をおそれず言えば、
一般の方が作られたプランは複雑で、ごちゃごちゃしています。

複雑な方が一見カッコよさそうに見えるのも理解できますが、そんな時はこの格言を思い出してください。

巨匠

lessイズmore

設計者がつくるプランは、廊下や部屋のラインが通っています。
建物形状は敷地条件にもよりますので、「外形がシンプル」とはちょっと違います。

・廊下が無駄にクランクしていたり、
・部屋の形がいびつだったり、
ということが極力無いということです。

建物は複雑でも良いですが、部屋や廊下の形は極力シンプルにすべきです
これらが複雑では使い勝手も悪く、良いプランとは言えません。

この辺りの違いは設計者と一般の方で、設計プロセスが違うこが要因ではないかと思っています。

一般の方は部屋を足し算で作っているのに対して、設計者はゾーニングから作ります。

【足し算プランニング】では、少しずつプランが決まっていくので気持ち良いのですが、一貫性がなく取って付けた間取りになってしまいます。

【ゾーニングプランニング】では、大まかなゾーニングを決め、次に廊下を通し、最後に部屋を肉付けしていきます。
設計手法はそれぞれありますが、『通り』を気にしない設計者はゼロなくらい重要項目です。

平面的にシンプルでラインが通っている間取りは、施主様には一見面白みのないように見えてしまうようです。

しかしながら、平面が美しい建物は、実際の家も美しいもの。
良いプランの秘訣は、廊下・部屋・屋根などをよりシンプルにすることです。

シーンに固執している

お施主さんで、最初に持ったイメージに引っ張られている人を見かけます。

ある一つのシーンに固執しているケースです。

最初に感じたイメージは大切にするべきですが、
固執しすぎると、どうしてもそのシーンに引っ張られ、不要なデザインが出来上がることがあります。

例えば、『玄関入ると中庭』というシーンに憧れがあったとします。

・その先に何が見えるのか、
・そのお庭は明るいのか、
・中庭が効果的な敷地なのか、

を十分吟味した結果であれば良いのですが、憧れが先行していると合理性がない演出になってしまいます。

例えば、超田舎で田園風景が広がっている土地なら中庭は不要です。

そんな時はあえてシンプルに南に大きい窓を取れば良いでしょう。
なぜなら、それが合理的で番の贅沢だからです。

ですがそれがちょっと物足りないように感じられる方もみえます。

中庭や、吹き抜けなどの手法は敷地条件に依存します。

建築手法はやりたいからやるではなく、これらの手法をとる必要がある敷地だから採用するのです。

かくゆう僕も、自邸で中庭を作ろうと思いましたが踏みとどまりました。
なぜなら、南に大きく開けた土地が欲しいと思ってその土地を買ったからです。

そして、上司から惜しげもなく

「意味なくね⁉」

と言われたからです。

おにまめ

あ、あぶねぇ、あぶねぇ。。

上司に感謝です。

断面で考える

良い設計者は平面と一緒に断面も考えています。

・隣家マンションの上方向からの目線とか
・吹き抜けからどのように光が落ちてくるとか
・LDKのこの部分からこのように見えるとか

良い設計者は、平面と断面を言ったり来たりしながら思考しています。

住宅特集や新建築で取り上げられているプランは、断面が非常に良く考えられています。
言わば、建築という分野ではこの『断面の考え方』が基本とも言えるワケですが、なかなか一般の方が断面的に考えるのは大変です。

平面に加え、断面も思考の一部に置いておくと、プランは劇的に面白いものに変わります

まとめ

以上のように設計者が思う「良い家」と一般の方が思う「良い家」にはズレがあるように感じています。

それもそのはずで、
一般の方は僕たちほど「様々な空間を経験」していないのでイメージが付きづらい家には抵抗感が出ます。

『抵抗感がある家はあまり良いように感じられない』というのはとても自然な流れです。

だからこそ写真やパースや言葉で、空間の気持ち良さを伝える必要があるワケなんですね。。

これらはきっと住宅設計に限らず、他の分野でも起きている話なんだと思います。

例えば僕が、トヨタのエンジンの美しさを力説されてもマジで意味が分からないように。

まとめ

今回の話は、あくまで僕たち設計者が正しいと主張したいワケではありません。

そのお互いの認識のズレを、すり合わせながら修正して、良い家を作ることが最終課題です。

少しでも参考にしていただけたら幸いです。

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それではまた次回!!

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