先日、家相判定のため建物重心を計算するのにひと苦労しました。
というのも、判定した土地は3角形の狭小地。
おのずと建物も敷地に沿って不整形で複雑な建物でした。
簡単な四角い建物なら重心は簡単に(感覚的に)分かりますが、雁行している建物ではそうはいきません。
今回は重心は計算式を、皆さんにシェアしていきたいと思います。
建物の重心=断面一次モーメント
皆さん、実務をやっていると力学の偉大さを忘れてしまいますが、【建物の重心】は建築士試験の【断面一次モーメント】で触れられています。
※重心が感覚的にわからない人は、建物を人差し指に乗せて(実際には無理ですが)バランスが取れるところと考えると良いと思います。
建物重心とはすなわち、ある基準点から見たモーメントのつり合いの位置。
以前断面一次モーメントについて、解説した記事がありますので参照ください。
この記事では
・重心とはモーメントのつり合いが取れる点のことですよ~
・2点の離れた物体でも重心を求めることができますよ〜
って話をしています。
この2点の物体が四角形で、くっついていると想像してもらえれば、重心がなぜこのような式で表されるのかイメージしやすいと思います。
今回の重心算定では【任意の軸】を建物の角などの基準点を取ってあげれば良いのです。
重心の求め方
この考え方から、複雑な建物でもブロック分けすることで、複数の物体と見立てることができます。
では、以下の形の建物の重心を実際に計算してみましょう!
建物の重量mは分かりませんが、同じ建物なので比重は同じだと考えれば、【質量=大きさ】と捉えなおすことができます。
今回はmの質点が3つある場合の重心を求めたいことになります。
すると計算は以下のようになります。
$$\frac{(A×AY)+(B×BY)+(C×CY)}{A+B+C}$$
これは
$$\frac{(各ブロックの面積×距離)=モーメント の合計}{面積の合計}$$
を表しています。
みなさん、このパターン見たことありませんか?
そう。
【平均天井高】の算定方法と考え方は同じなのです。
平均天井高の算定と同じ
平均天井高を算定するときの方法を知っている人は、分かりやすいかもしれません。
平均天井高を調べるときは、【各面の面積(底辺×高さ)÷全体の底辺=平均天井高】で求めています。
【底辺×高さ】を【底辺】で割れば、【高さ】がでる。
ってことは全体で足し合わせれば、【平均高さ】がでるよね!という考え方です。
以下の記事が参考になると思います。
こんな感じで、重心も
(各ブロックの面積×距離)÷全体の面積=平均の距離【重心】を求めることができるよね!
ってなります。
よって以下の式
$$\frac{(A×AY)+(B×BY)+(C×CY)}{A+B+C}$$
になるのです。
これをX方向とY方向でそれぞれ計算すれば、基準点からの座標が決まるので重心が分かるということになります。
まとめ
理屈は解説した通りですが、重心を手計算でやるには結構面倒ですし時間も掛かりますので、エクセルなどに計算式をまとめておくと良いと思います。
最後まで読んで頂きありがとうございます。
それではまた次回!!