最近、僕の友達が家を建てるという機会が増えてきまして、相談を受けることが多くなってきました。
そこで今回は多くの方が陥りがちな、ちょっとした勘違いを紹介します。
これを理解してもらえれば、きっと納得のいく家づくりができるようになると思います。
それはタイトル通り【土地と建物の関係】です。
最近よく言われるんです。
いくつかの土地で迷っていて、決めかねている。。
だから間取りを決めてから、それに合う土地を検討したいというお話です。
なるほど、なるほど。しかし!!
僕は普段温厚なタイプですが、これに対してはモノ申したい!!
建物(プラン)を決めてから土地を考えるというのはちょっと違いませんかと。
もちろん家づくりには正式な順番なんてないので、僕のこの考え方が絶対に正しいというワケではありません。。
現に家づくりは、土地選び、間取り検討、予算把握、ローンなどなど。。
これらの複数の要素をほぼ同時並行で考えていかなくてはなりません。
正直言って、超大変!メンドクサイ!!
そのくせ、土地(不動産)と建物(設計事務所・工務店・ハウスメーカー)は別々の会社だったりすることが多いので、同時に決めていくことが尚のこと大変であることも十分理解しています。
だけど、あえて書かせてもらいますよ!
そう、このブログはまだまだ作ったばかり!!
読者が少ない!!!
よって炎上しない!!!!
ということで前置きが長くなりました。笑
早速行ってみましょ~。
土地のポテンシャルを活かすのが建物
まずは僕の主張から説明していきます。
タイトル通り、建物はあくまで土地のポテンシャルを活かす道具のようなものです。まず、土地ありきということです。
以前堀部安嗣さんの本を読んだときに分かりやすい例えがありました。
本のレビューもしていますので、良かったらこちらも見て頂ければと思います。
住まいの基本を考える 堀部安嗣
ちょっと引用して、
ビーチパラソルによってわずかな日陰ができれば、そこに本を読む、眠るなどの人の営みが生まれます。また、花見をする時には、出来れば日差しを遮れる樹の下を選び、その中でも無意識に美しく咲く樹を選びます。
要するに、土地の中で気持ちの良い部分に自然と人は集まり、そこに目的を持たせ”人の巣”を形成します。
感覚的には、土地に対して平面上の仕切りを置いていったものが建物だと僕は認識しています。(建築に対する考え方は人それぞれなので、あくまで僕の意見だと思ってくださいね。。)
土地のポテンシャルとは、間口がいくつで、奥行がいくつで、第一種低層住居地域で、などという諸条件のことではありません。。
どの方向が抜けているとか、
こちら向きは建物があって視線が気になりそうだなとか、
この向きに風が抜けるなとか
もっと踏み込んで時間軸で考えて、今後この空き地にショッピングモール建ちそうだなとか、
まぁそういった土地の気持ち良い部分とそうでない部分をざっくり分けたものを指しています。
正直言うとこんなことを書いている僕自身が、
たまに土地条件ではなく最初のインスピレーションに引っ張られて、建物の造形から考えてしまうことがあります。
だから、一般の方が建物の形・外観・床面積などから住宅を考えてしまうというのも無理はないと思います。
プランを考えること自体は一般の方にとっても楽しい行為ですしね(^-^)
まず、プランから考えてしまうことも理解できるんです。
ですが、一見遠回りに見えるかも知れませんが、ぜひ土地の周辺環境をまとめる機会を設けてほしいと思います。
結果として、プランに合理性が出来て納得できる家づくりができると思っています。
地積測量図にとにかく描きこむ
これは僕たち住宅設計を仕事にしている人なら皆やっている行為です。
これをやるのと、やらないのではプランに掛かる時間が全然違ってきます。
もちろんプランは時間を掛けてたくさん吟味してほしいとは思いますが、住宅は決めることがたくさんありますから早い段階で大まかなアウトラインが引けることは結構重要です。
僕たちはプランをする際に必ず現地を確認しに行きます。
今はグーグルマップである程度の情報が分かるようになりましたが、それでも現地に行くようにしています。
さて、その時に持っていくものが地積測量図とペンとスマホです。
現地に行き、その場で気になったことをひたすらメモしていきます。
例えば 、
- 隣家の窓の位置
- 電線がごちゃごちゃしている
- 前面道路の幅
- 視線が抜ける方角
- 隣のおじさん肌着で縁側出てるじゃん。。
とかです。
大した内容じゃなくてもひとまず描きこんでいきます。
その時、一緒に写真も撮っておきます。
この行為はなかなか一般の方はしませんが、誰にでもできることですよね。
時間的にもそんなに掛からないですし。。
大体20~30分くらいかな。
そうすると土地の良いところ・悪いところが明確になります。
基本的には、人が思う良い場所・悪い場所は不変だと思っていますので、(隣のお茶の間に向けて大開口サッシを付けたがる人がいないように)担当する設計士も、施主様が現地調査をすることに対しては賛成してくれると思います。
出来れば、土地が決まったら、朝とか夜とか雨の日とか時間を変えて、現地を見に行くことをお勧めします。
そうすると意外な発見があるものです。ぜひやってみて下さい。
土地が変わったなら、プランも変えよ
土地と建物を頑張って考えた結果、土地が変わることもありますよね。。
なんせ土地は世の中に無限とあります。
それに対してプランも何通りか考えられるので、もう何が何やらわからなくなってしまう。。
このような悩める方々を僕は何人も見てきました。笑
だからこそ、プランを決めてから土地を決めたいという気持ちになるのでしょう。
しかしながら、
土地が変わって、一度考えたプランがそのまま入る敷地だったとしても、同じプランをそのまま移動することはお勧めしません。
それまでに多くの時間を掛けたことも思いだされるでしょうが、それでも土地が変わったなら一度プランを白紙にすべきです。
少なくとも、もう一度内容を吟味すべきです。
このように敷地が違っても、
「プランに満足しているからそのまま移動してしまおう」
という思考は、建物の内部ばかりに意識が向いている証拠です。
厳しい言い方をすれば、
内部は満足のいくものでも、外部との関係が悪い住宅になる可能性が高いと思います。
繰り返しになりますが、まず土地ありきです。
その敷地から享受できる風・光・その他環境を最大限活かせるように心がけましょう。
まとめ
僕が見てきた良いと思える住宅は、必ずと言ってよいほど外部環境をうまく内部に取り入れていました。
逆を言えば、
この「外部をうまく取り入れた住宅が良い住宅の条件」とも言えるのではないでしょうか。
ここまで、記事を読んでくださった方はきっと良い家づくりをしたいと願っている方が多いのではないかと思います。
ご自身の家が良い住宅にできるように、外部環境の読み込みを是非とも実践してほしいと思っています。
以上、【土地と建物の関係】でした。
それでは。