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  • 2026年3月3日
  • 2026年3月3日
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建築士に必要な『ディレクション思考』──作業者思考を脱して、プロジェクトを前に進める方法

はじめに

こんにちは。おにまめ(@osukeb)です。

建築士として働いていると、『図面を描くことが自分の仕事だ』と思いがちです。
僕自身、ずっとそう思っていました。

いい図面を描けば、いいプロジェクトになる。
だから直近の着工が違い物件の図面作業時間を確保するために連絡を後回しになっちゃう。
そして、メールの返信が遅れる。現場に迷惑をかける。他のプロジェクトが遅れる。
・・・そして上司からめちゃくちゃ怒られる!!

──そんなことを繰り返していました。

でも最近、ようやく気づいたことがあります。
建築士の仕事の本質は、図面を描くことではなく、プロジェクトを前に進めることだと思います。

図面を描くというのは、プロジェクトを前に進めるための【一工程】でしかありません。
そしてそのためには、「作業者」ではなく「ディレクター」としての思考法が必要なのではないでしょうか。

今回は、僕自身の反省も込めて、建築士のディレクション思考についてお話ししていきます。

それでは行ってみましょう!!


建築プロジェクトがうまくいかない構造

建築プロジェクトを進めるうえで、僕が感じているネックは大きく3つあります。

金額とデザインを含めたお客さんとの合意形成

建築基準法やその他の法的制限

構造・設備の技術的制限

これらをうまく乗りこなせないと、プロジェクトは泥舟化してしまいます。

具体的には、こんな感じでプロジェクトが遅延していきます。

  • お客さんからの信頼が十分に得られていないと、プロジェクト後半になってもプラン変更が起きる
  • プランが変わると、法的チェック・構造チェック・設備チェックをもう一度やり直すことになる
  • コスト調整にも時間がかかる
  • 結果、詳細図面を描く時間がなくなり、収まりやディテールが甘くなる

つまり、序盤で解決すべきことが後ろに回ると、すべてが連鎖的に崩れていくということです。
プロジェクト管理って怖いですよね。

同じような経験をされている方も、少なくないのではないでしょうか。


建築プロジェクトの3つのフェーズ

この問題を整理するうちに、建築プロジェクトには大きく3つのフェーズがあり、それぞれで建築士の役割をはっきり切り替えることが重要だと考えるようになりました。

【序盤】アーティストとしてのコンセプトメイク

プロジェクトの最初は、建築家としての仕事です。

  • 土地に対して、どう住むべきかという大きな問いに向き合う
  • 住まいづくりのコンセプトをつくり、暮らし方を提案する
  • お客さんの気持ちを高め、『この人に任せたい』と思ってもらう

この段階では、細かい納まりや法的な制約は一旦置いておいてよいと思います。
まずは大きなビジョンを示すことが最優先です。

【中盤】ディレクターとしてのコミュニケーション

序盤でお客さんの心をつかんだら、次はプロジェクトを「実現可能な建築」へと着地させるフェーズに入ります。
ここでの主な仕事は、図面を描くことではなく、コミュニケーションを取ることです。

  • お客さんとのすり合わせ
  • 構造・設備との調整
  • 関係部署や行政との連携
  • スタッフへの指示出しと品質管理

つまり、このフェーズの建築士はディレクターだと言えるでしょう!!
そして総じてプロジェクトでは、この期間が一番長いもんです。

図面をゴリゴリ描くよりも、コミュニケーションを重視すべき時間ですね。
プロジェクトを前に進めるための推進力が、ここで一番求められます。

【終盤】作業者としての緻密な仕上げ

中盤でディレクションがうまくいっていれば、終盤に入るころにはお客さんとの打ち合わせはほぼ完了しています。
あとは『形にするだけ』という状態です。

ここでようやく、職人的な仕事に集中できます。

  • 図面の納まりを詰める
  • ディテールをきれいに整える
  • 施工可能性を検証する
  • 将来的な不具合を減らす設計にする

この「エンジニアの時間」を確保するためにも、中盤のディレクションは欠かせません。


僕が損していたこと

この整理をしてみて、自分がかなり損していたことに気づきました。

僕はもともと『図面を描くことが第一』という価値観で動いていました。
だからコミュニケーションを後回しにしがちだったと思います。

一方で、ビジネスの文脈では「即レスが大事」と言われます。
しかし、集中して作業するためには「連絡を遮断すべき」という考え方もあります。

僕はこの二つのバランスが全然取れていませんでした。

  • 図面作業に追われると、メール対応が遅くなり、現場に迷惑をかける
  • 逆に連絡を返すことを意識すると、図面が進まず、ディテールが甘くなる

レスポンスと図面精度の二項対立の中で、ずっと疲弊していたと感じます。

しかし、この「序盤・中盤・終盤」のフレームで考えると、その対立は解消できます。

プロジェクトの中で一番長い期間を占めるのは、中盤の【ディレクションフェーズ】です。
この時間こそが自分のコアの仕事だと腹落ちできれば、自然とレスポンスは速くなります。

なぜなら、「連絡を返す」ことが作業の邪魔ではなく、まさに今やるべき本業になるからです。

ディレクションが仕事のコアだと捉えれば、大量の連絡にうんざりすることも少なくなるでしょう。(僕はうんざりしてました。)
メールもチャットも電話も、すべてがプロジェクトを前に進めるためのアクション。
『作業を中断させるノイズ』ではなく、【自分の仕事そのもの】に変わ離ます。

後回しにすることが減る。
少しでもプロジェクトを前に進めようという推進力がつく。
そして中盤をしっかりディレクションできたプロジェクトは、終盤で図面に集中する時間がちゃんと生まれます。(サイコー)

図面作業は手放していい

この考え方を突き詰めると、もうひとつの転換が見えてきます。

僕はずっと『図面を描くことが設計士の仕事』だと思っていました。
しかしディレクターの視点に立てば、図面作業はキャドオペレーターに任せてよい。
いやむしろ、任せるべきだと考えています。

ディレクションは、作業者よりももう少し上流にある仕事です。
全体の方向性を決め、スケジュールを管理し、コミュニケーションをとって、関係者と協働してプロジェクトを前に進める。
その役割に専念するためには、自分が手を動かすことに固執しないほうがよいんじゃないかな〜と思ってます。

図面を描く力は大切です。
しかしそれは「自分で全部描かなければいけない」という意味ではありません。
描ける力を持ったうえで、描く作業を任せ、自分はディレクションに集中する。
それが建築士としての、より上流の働き方だと思います。

ただし、施工図だけは自分の手で

ただし、終盤の施工図だけは別です。

ここは作業者として、自分の手で図面を描くべきだと考えています。
納まり、ディテール、施工性──これらは経験と技術がそのまま線に出る領域です。

誰にも邪魔されず、図面作業に没頭する。
その時間を確保するためにこそ、中盤のディレクションで先回りしてプロジェクトを整えておく必要があります。

ディレクションに専念する時期があるからこそ、最後に作業者として没頭できる時間が生まれる。

この緩急こそが、プロジェクトを良い形で着地させる鍵だと思います。


まとめ

今回は「建築士はディレクター」というテーマでお話ししてみました。

図面を描く技術ももちろん必要ですが、それだけでプロジェクトは回りません。
お客さんの意思決定を引き出し、関係者と調整し、全体を【推進していく力】。
それこそ、建築士の仕事の中心にあるべきものだと、最近強く感じるようになりました。

作業者ではなく、ディレクターであれ。

その意識の転換が、プロジェクトも、自分自身の働き方も、変えてくれるのと思います!

今後も、こうした設計士の成長に繋がるリアルな学びを発信していきます。
今日の記事に少しでも共感いただけたら、ぜひnoteをいいね👍&フォローして、次の記事をお待ちいただけると嬉しいです。

最後まで読んでいただきありがとうございます!
それではまた次回!!

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